ブロッコリー


特徴

原産地 ヨーロッパ(地中海から北海沿岸、大西洋沿岸)

植物分類 アブラナ科(キャベツの一変種 カリフラワーを改良)

食用部位 花蕾

特徴成分 ビタミンC、葉酸、カロテン、カリウム

発芽適温 15〜30℃

生育適温 18〜20℃

花蕾発育適温 15〜18℃

好適土壌pH    6.5前後

 




栽培の様子

は種〜定植(3月〜)

のららぼ農園がある地域はブロッコリー栽培が盛んな地域。標高が高く、暑さが苦手なブロッコリーの栽培に適しているのです。昼夜の寒暖差も大きいので甘くて美味しいブロッコリーになります。たくさんの先輩農家さんが栽培に取り組んでおり、私達はまだまだ修行中の身です。

春定植ブロッコリーは育苗にも挑戦中。苗はセルトレイという資材で育てます。セルトレイは省スペース&省資材でたくさんの苗を育てることができる優れもの。1枚のトレイに128の穴が空いており、そこに培土を詰めて、1粒ずつ種を撒き、発芽器で加温して一斉に芽吹かせます。苗は育苗用のビニールハウスに移動して、1ヶ月ほど育てます。苗に生育ムラが出ないように、病気にならないように、温度・換気・水管理を徹底。ゴマみたいな乾いた種から半透明な小さい芽が出て、瑞々しい緑色になりながら揃って光に向かって成長する様子を観察するのは元気を貰える作業。いや正直可愛い。苗は4月中下旬に畑へ定植。私たちは田植えのように1本ずつ植えています。畑の土がふわふわだからできる技。ありがたい限りです。定植機の導入はまだ先になりそうなので、定植のお手伝い募集中です(笑)。


栽培管理(4月〜)

定植時期の4月中下旬は氷点下になるので凍害を受けやすい期間。根が張る前に寒さにあたると凍害を受け、葉が白く枯れてしまいます。それでもブロッコリー(アブラナ科)の生命力は強いので肥料をしっかり与えればなんとか復活してくれますが、生育遅れや異常株が発生して収穫量・品質ともに低下してしまいます。そして何より可愛い奴らが傷んでいくのを見るのは辛い。天気予報を睨みつけて定植日を決めたり、外の環境に慣らす期間を設けたり(=順化(温室育ちで繊細だから))と試行錯誤中です。

最近は春に降雨が少なく干ばつの被害に遭うことも。こちらも畑にしっかり根を張っていれば問題ないのですが、株が小さいウチは大問題(こちらは確実に枯れます)。広い畑に散っていった子達、1株ずつ手作業で灌水。セルトレイに収まっていた時は数分で終わる潅水も、定植後では数時間かかります。それだって雨に比べたら少しの量しか与えることができません。時には何回も灌水する場合も。本当に雨の力は(良くも悪くも)絶大です。

定植から2週間も経てば根が張って、株も頑丈になり、本葉も増えてきます。この頃から株の周りの土を耕して(=中耕)株元に土を寄せる作業(=土寄せ)を行います(写真は定植1ヶ月後の様子)。中耕は硬くなった土をほぐして通気性向上・根張り促進・生育促進、土寄せは倒伏防止、さらに土を動かすというこの2つの作業が雑草の生育抑制につながる♪という一石三鳥(?)の作業。実際、中耕土寄せ後に株はグンと一気に成長していきます。日々の観察を怠らず、適切な時期に適切な作業を着実に行うこと。先人達の栽培技術の蓄積の賜物です。


〜収穫(6月)

中耕・土寄せ作業の後、5月後半以降は暖かい(最近では暑い)日も増え、株はどんどん大きくなります。ブロッコリーは収穫が遅れると蕾が開いたり、形が崩れたして商品価値が無くなってしまう「待ってくれない野菜」。収穫時期が重ならないように定植時期をズラした株も、この辺りから一気に生育差を縮めてきます。順調なのは嬉しいのですが、ヒヤヒヤします。

そして暖かくなると元気になるのはブロッコリーだけではない。草も虫も病気もガッツリ生き生きしてきます。草は適切な時期に中耕することができればブロッコリーが先に大きくなって光を遮ることができるので、勢いを削ぐことができます。これに失敗すると草原となり、栄養を奪われ、虫を呼びこまれ、生育が悪くなり、品質が落ちる。という悪循環。必死にチマチマ手で草を退治することになります。

一方で制御が難しいのはチョウ目の虫達。ブロッコリーに限らずアブラナ科はとにかくチョウ目に好かれ過ぎる。とにかく鱗粉一族が飛ぶ跳ぶ。幼い子達が生まれては齧りまくる。そして実害を1番もたらすのは病気の原因であるカビや細菌達。収穫時期に雨が続くと、水に乗ってあっという間に広がって花蕾を腐らせてしまいます。虫もカビも菌も地球の仲間。何も悪くはありません。が、畑の中だけはご容赦あれ、ということで薬による防除作業を早期に予防的に計画的に実行しています。農薬に抵抗がある方は多いかもしれませんが、近年の農薬はめちゃめちゃ進化しています。ターゲット生物に特化した効果、環境生物やヒトへの高い安全性、そして土や水中での残存性の低さ、、すごいスペックの薬が生まれています。(この話始めると長くなるので、どこかで別途(笑)

定植から約2ヶ月。茎の頂に花蕾(=ブロッコリーの食用部分。小さな蕾が集まってドーム状になったもの)が生じ、それがドンと大きくなって収穫に至ります。気温にもよりますが暑い場合には収穫適期(サイズと品質)は2〜3日。それが一度にやってくる。多い日では1日に1000個以上収穫して出荷しています。収穫期間は早朝から暗くなるまで、雨の日も休みません。楽しいですよ。ご参加お待ちしております(笑)。




畑の仲間たち

チョウ目

とにかくとにかく好かれてしまう。成虫はアレですが、幼い時分はよーく見ると可愛い(副園主は鱗粉系は苦手)。畑は同じ作物だけが大量にあるので、得意な生き物も大量に増えてしまう。私たちの都合で人為的に増やしてしまった命でもあります。食べ物を頂くときには色んなことに感謝しなくちゃと感じます。



参考文献:農学基礎セミナー 新版 野菜栽培の基礎, 池田英男・川城英夫 他, 一般社団法人 農山漁村文化協会