ミニトマト


特徴

原産地 南アメリカ、熱帯や亜熱帯のアンデス高原地帯

植物分類 ナス科1年草(熱帯では多年草)

食用部位 果実

豊富な成分 β-カロテン、リコピン、ビタミン(C, B1, B2)、カリウム

発芽適温 24〜30℃

生育適温(昼間)20〜25℃/(夜間)8〜13℃

開花・結実・成熟適温(昼間)20〜25℃/(夜間)10〜18℃

好適土壌pH   5.5〜6.5

 




栽培の様子

定植〜開花(4月〜)

のららぼ農園ではミニトマトを4月中旬ごろ(ハウス内の気温が氷点下にならなくなる時期)に定植します。成長すると逞しすぎるミニトマトも最初は華奢で繊細な小さな苗。一株ずつ折れないように丁寧に植えていきます。それでも心配なのは1週間くらいだけ。根が畑の土に張り始めれば一安心。あとは持ち前の強靭さでぐいぐい成長。定植1ヶ月で膝丈くらい(写真2)、2ヶ月弱で1m程度(写真3)まで急成長。葉は3〜5日おきに1枚ずつ展開。葉が7〜8枚になると第1花房ができて、そのあとは葉3枚ごとに次の花房がつきます。定植2ヶ月弱で第3〜4花房くらいまで開花。花が咲いて受粉した順に果実が大きくなり、ふさ状に垂れ下がり始めます(写真4)。

なんとこの段階まで殆ど肥料は与えません。恐るべき生命力。下手に甘やかす(追肥する)と暴走ジャングルモード(茎は極太、葉は巨大、脇芽は爆発、花(実)着きも悪化)に突入し、手に負えないし、収量も減るという最悪の事態に(1年目はここで失敗)。心を鬼にして、水だけをしっかり与えて育てます。


管理作業(脇芽欠き, 誘引, 葉欠き)、収穫(6月〜)

株が大きくなるのに伴って、管理作業(脇芽欠き、誘引、葉欠き)が本格化。ミニトマトは各葉の付け根から側枝(脇芽)が生えてきます。これをそのまま全部伸ばすと薮状になってしまうので、一番上の芽だけ残し、その他の芽を摘除する作業(=脇芽欠き)が発生します。また、茎は最終的に5m以上になるため、そのまま上に伸ばし続けることはできません。このため、当農園では上から吊るした紐を使って茎を斜めに傾けながら伸ばしていく(=誘引する)作業を行なっています。また、株が成長して葉が密になることで採光性・通気性・作業性が悪化。光合成効率悪化に伴う収穫量減少・病気の多発・誘引困難による作業の遅れ・農薬不行き届きで病虫害多発・収穫作業の宝探し化 などの悪夢が具現化してきます。このため古い葉や混んでいる部分の葉を摘除する作業(=葉欠き)も発生するのです。この3つの管理作業がなんたって大変。1週間も放置すればまたしてもジャングルモード(1年目はここでも失敗(笑))。栽培期間中は片時もミニトマトから離れることはできません(管理作業の効率アップは永遠の課題)。

果実は受粉してから30日間で急激に肥大し、その後はあまり大きさは変わりません。そして受粉してから40〜50日程で着色し、収穫開始となります。


収穫(〜12月)

果実の着色速度は最初はポツポツ、その後1週間程で爆発的な勢いとなり、収穫最盛期を迎えます。トラブルや管理作業の遅れ、天候不順などがなく順調に受粉すれば(これがなかなか難しい)途切れることなく果実をつけ、果実や茎葉が凍る12月前半ごろまで収穫できます。果実の成長には光合成産物の蓄積が不可欠なので、光量が多く温度の高い(昼夜の温度差も重要)7〜8月の収穫量が最も多くなります。ピーク時は2人で5時間以上収穫していることも。そんなに収穫しても翌日にはまたたくさん赤い実が出現。魔法みたいで圧倒されます。

ミニトマトは毎日観察していていても、突然実が出現したり、着色したり、葉や脇芽が伸びているように感じてしまう。色々な器官が信じられない速さで発生し、成長していく。獰猛なまでの生命力。本当に不思議で感動的で、元気を分けてもらえる作物です。




畑の仲間たち

アマガエル

ハウスに住んでくれる3〜4cmくらいの可愛いカエル。昆虫を食べてくれる有難い存在です。綺麗な緑色のイメージがあるアマガエルですが、生息場所によって背中の色を変化させます。目はキラキラ、足の吸盤は透き通って、雨の前にはケロケロ鳴いて、出会うと幸せを感じます。

 

コナジラミ

成虫は体長1mm程度。白い羽でチラチラと舞う小さな妖精(昆虫)。ハウス以外ではあまり出会うことはありません。出現初期にご退場願わないと、あっという間に大群となり、永住を決め込みます。幼虫・成虫ともに口針で植物から栄養を摂取。ウイルスを媒介したり、排泄物にすす病を発生させたりする農家にとっては困ったヤツです。



参考文献:農学基礎セミナー 新版 野菜栽培の基礎, 池田英男・川城英夫 他, 一般社団法人 農山漁村文化協会

:まるごとわかるトマト, 田淵俊人, 誠文堂新光社