サンゴミズキ


特徴

原産地 アジア北東部

植物分類 ミズキ科/ミズキ属(落葉広葉/低木)

樹高 1.5〜2.5 m

樹形 株立状(地際から多くの枝が直立)

別名 サンゴモミジ/コーラルツリー

収穫部位 枝

用途 花材(クリスマス、正月飾りなど)

 




栽培のきっかけ

野菜が育たない畑

山がちで、標高も高く、木々も生茂る日当たりも悪めな畑。いろいろな野菜の栽培を試みましたが、ことごとく玉砕。もはや、ただただ草を刈って山野に戻らないように維持していくしかないのか、と途方に暮れたりもしていたのです。

そんな時、JAさんから紹介してもらったのが、サンゴミズキ。真っ赤に紅葉した枝を収穫し、花材として出荷する作物とのことでした。寒冷地であるほど、鮮やかに紅葉するため、この困っていた畑環境がむしろ強みになる作物とのこと。なにそれ。めっちゃ魅力的。しかも、収穫時期は野菜の収穫物(収入)と作業が少ない晩秋(11〜12月)。ありがたーい。そして、その上、野菜繁忙期(4〜10月)の栽培管理作業がほとんどない。え!?ほんとに!?、、、むむぅ栽培しない理由が思いつかない。

という訳で、まさか、自分達が花の栽培農家になるとは想像していませんでしたが、挑戦してみることに。農業大学校と研修先の農家さんで花栽培を勉強させて頂いていたことも、挑戦の大いなる後押しになりました。これまでの出会いに本当に感謝です。

定植〜株養成(1年間)

栽培は春に苗を定植することから始まりました。花の栽培なんて出来るのか、、と不安はありました。が、そんな不安も苗を見て霧散。なんたってとにかく可愛いっ!枝の赤の色が綺麗なこと。葉の鮮やかな緑、その形も大きさも対になっている付き方も、めっちゃ好み。そして小さな白い花の繊細なこと。作り物めいた色彩とバランス。いや花に興味の薄い我々ですが、もはや、鷲掴まれたと認めねばなりますまい。立派に育てねば、いや育てたい。と思った次第。

定植したての苗は頼りなげでしたが、夏になる頃には根元から新芽(枝)が次々に真っ直ぐに伸びてきました。最終的に1年目は1mくらいまで成長。欠株(枯れてしまった)株もほとんどなく、順調に養成できました。ちなみに、本当に蛇足ですが、実も可愛いっ!!


栽培の様子

剪定〜生育・紅葉〜収穫

サンゴミズキは冬に剪定します。地際から10cmくらいの高さで全ての枝を剪定。このため、春は長い枝が無い状態から成長が始まります。春から夏にかけて新しい枝が次々に伸長。枝分かれは殆どなく、ひたすら真っ直ぐにグイグイ伸びます。定植から2年目には2m以上まで成長。葉も大きくなり、通路の通り抜けが困難な状況に。まさかこんなに大きくなるなんて、、、ちょっと想像できなかった。不思議なことに、春まで赤かった枝は、夏には緑に変化。もちろん新しく出てくる枝も緑色。晩秋に葉が紅葉し始めると枝も赤く色付き始めます。標高が高く寒暖差が激しいので、紅葉はそれはそれは見事な仕上がり。葉色は緑から黄、そして赤へ。枝は深く鮮やかな赤に変化していきます。そして葉が散った後にようやく収穫(11月下旬〜12月中旬)。規格の長さに枝を切り出して、形を整えて、本数をまとめて出荷。ただの枝、されど枝。スッとした形状、滑らかな質感、独特な赤、なんとも素敵(親バカ)。その名の通り、サンゴの雰囲気です。曲がったり枝分かれしてしまったもの(規格外品)も味があって個人的には好み。もったいなくて捨てられず柄にもなくオブジェ(?)にしてみたり、クリスマスツリーやリースにしてみたりしています。花屋さんで見かけたら、じっくり観察してみて下さい。可愛いです。

のららぼ農園にとってサンゴミズキは1年の締めくくりの作物。収穫・出荷調製をしながら、どんな風に使われて飾られるのか想像して優しい気持ちになったり、自分達のその年の農作業を振り返ったり、次年度の栽培の妄想したりしています。




畑の仲間たち

タケノコ

春になるとお隣の竹林からやってきます。防草シートを押し上げ、マルチを突き破り、ドンドコあちこちから顔を出してきます。成長が早いので放っておくと大変なことに。なるべく柔らかいうちにお引取り願うべく、パトロールが欠かせません。



参考文献:ガーデン植物大図鑑,  協力(社)日本植木協会, 講談社