ネギ
原産地 中国西部
植物分類 ユリ科多年草
食用部位 茎葉
豊富な成分 カルシウム、ビタミンC、アイリン(特有の臭気のもと)
発芽適温 20〜25℃
生育適温 20℃前後
ネギの種まきは2月中下旬。のららぼ農園の春仕事は、ネギの種まきから始まります。もちろん外気温はまだまだ極寒。発芽器で温めて芽を出してもらい、その後はハウス内で育てます。ネギの種はちょうどゴマくらいの大きさ。そこから出てくる芽は糸のように細く、とてつもなく頼りない。しかしここで甘やかしてしまうと、本当にフニャフニャした自立心のない苗になってしまう(ジョウロからの水の勢いだけで倒れてしまう)ので、寒さに耐えてもらいながら、ゆっくり、がっしり骨太になるように育てます。ネギの育苗期間は約2ヶ月。育苗期間の長い野菜です。
定植は4月下旬。この頃には葉も数枚出て、ちゃんと自力で立てる立派な苗になっています。ネギ苗は植え溝を掘って、一段低くしたところへ植えていきます。この作業がなんたって一苦労。最初の何年かは、溝の中に自分も入って、土下座姿勢で一株一株植えていました。そんなに大面積をこなすわけでは無いからと、土下座し続けて植えていましたが、流石の私たちもめげました。腰やら膝やらが固まります。 3年目からはチェーンポットを導入。チェーンポットは紙製の鉢が連なった構造で、育苗中は蜂の巣状にまとまって育苗箱に収まり、定植時には適切な間隔で1列に連なって引っ張り出せる、もちろん紙鉢は土中で微生物により分解されるので、そのまま土を被せれば定植完了!という優れもの。体への負担も、かかる時間も半分以下になりました。本当にありがたい。本来は土をかぶせるところまでやってくれる機械(名称:ひっぱりくん)があるのですが、お高いので未導入です。
ネギ栽培で欠かせないのが土寄せ作業。株が小さい間は、手作業で土を株元へ寄せ、大きくなってきたら機械を使って土を寄せていきます。この作業の目的は主に2つ。1つは雑草対策。そしてもう1つの目的が、ネギを根深ネギ(白くて長いネギ)に進化(?)させることなのです。
ネギは緑の葉を増やしつつ、葉を伸ばし、そして同時に葉しょう部(葉がまとまっている根本の白い部分)を太らせながら成長する野菜。つまり、私たちが食べているネギの白い部分は、葉しょう部です。白くて長いネギを食べるために必要な作業が、土寄せ作業。ネギが伸びたら、ちょっと土を寄せ、また伸びたら、ちょっと寄せ、と繰り返し、最終的には機械で土を積み上げるように寄せていきます。これを繰り返すことで、ネギの葉しょう部はどんどん長く、白くなります(土寄せをしなければ葉ネギ風に仕上がります)。
食べごろの太さと長さになるのが9月末。少しずつ畑から引き抜いて、外側の皮を剥いて、商品にしています。私達は3ヶ月くらいかけてゆっくり収穫して、直売所を中心に出荷しています。その間もネギは成長を続けてくれているわけで、収穫終盤(11〜12月)にはネギの白い部分が笑えるほど長くなってしまっております(緑と白部のバランスが個性的な仕上がり)。寒さにあたったネギは甘くて、とろっとして美味。うちのネギはその部分が特に長い!!お買い得に違いないっ。と勝手に開き直って、堂々と商品にしています。
トンボ
ネギの葉の先っぽがお気に入りなご様子。夏のトンボは1人でふらっとやって来て、短時間のご滞在。秋のトンボは団体でワイワイやって来て、長期滞在。葉先からフワッと飛び立っては、スッと戻る。トンボを見ていると、海でダイビングしている錯覚に陥る。サンゴに群れている小魚の動きに似ている。小魚が漂っているプランクトンを食べているみたいに、空中に漂っている虫を食べているのか。不思議。
クサ
土寄せをサボると、津波のように押し寄せてくる草たち。しかし彼らには何の罪もございません。私たちが、ここは生えたらダメだよ、と芽を出す前に土を動かして、伝えてあげれば良いだけです。そうしたら、彼らも無駄に芽を出したり、大きくなってから刈られたりしなくて良いんだから。本当にご迷惑おかけしております。ってこちらから歩み寄ったら、私たちにも少し優しくしてくれないかなぁ(笑)。
参考文献:農学基礎セミナー 新版 野菜栽培の基礎, 池田英男・川城英夫 他, 一般社団法人 農山漁村文化協会
のららぼ農園
長野県東御市和
E-mail: noralabfarm@gmail.com